脳動静脈奇形

当院での取り組み

 当院では脳動静脈奇形の豊富な治療経験から、様々な治療法を検討した上で患者さんの社会背景やご希望に沿って治療方針を決定しています。熟達した外科医、血管内治療医、さらに関連施設のガンマナイフ治療医、てんかん専門医、小児科医と密に連携をとっています。様々な最新の術前検査、術中モニタリング、術中血管撮影などを駆使して安全、短時間手術を心がけています。大型の病変や言語や運動領域に近接する病変の治療にも対応しています。

脳動静脈奇形とは

 脳動静脈奇形とは、脳にできた異常な血管のかたまり(ナイダス)のことをいいます。通常、脳を栄養する血液は、動脈→毛細血管→静脈の順に流れ、毛細血管から脳へ栄養や酸素を送っています。これに対して、脳動静脈奇形は脳内の動脈と静脈が血管のかたまりであるナイダスで直接つながっており、この中を大量の血液が勢いよく流れています。

脳
毛細血管

症状

 脳動静脈奇形が破れると脳出血やくも膜下出血を起こします。また、けいれん発作や頭痛などを引き起こすこともあります。脳動静脈奇形周囲の脳血流不全から認知症状などを呈することもあります。

治療方針

  1. 破裂脳動静脈奇形の場合:脳出血やくも膜下出血で発症して脳動静脈奇形が原因と診断された場合、高率に再出血をきたすので、なにかしらの治療を受けることが一般的です。出血を起こした場合、最初の1年間は特に再出血の確率が高い(年間6.0-17.8%)と言われています。破裂をした場合でも、脳動静脈奇形が非常に大きい場合や脳の深い部分にある場合などは、血圧管理などの内科的な治療のみを行う場合もあります。
  2. 未破裂脳動静脈奇形の場合:一度も破裂をしていない脳動静脈奇形は、破裂脳動静脈奇形より出血する確率は低くなります(年間2-3%程度)。侵襲的な治療を行わず、血圧コントロールなどの内科治療のみを勧める報告(ARUBA試験)もありますが、長期的な予後は不明です。治療法の決定は、異常血管の場所、大きさ、血管の流入や流出路によって、患者さんごとに様々なリスクを考慮して決めていきます。

治療方法

脳動静脈奇形の治療には下記の方法があります。

  1. 1)開頭手術によりナイダスを摘出する外科的摘出術
  2. 2)カテーテルによりナイダスの中を固めてしまう血管内治療(塞栓術)
  3. 3)放射線によりナイダスを閉塞する定位放射線治療
  4. 4)経過観察

1 開頭ナイダス摘出術

  • 実際に開頭して、異常血管であるナイダスを摘出する手術です。
  • 侵襲の高い治療になりますが、利点として根治性が高い点が挙げられます。
  • 未破裂な病変でも、場所やサイズが手術に適する部位であれば手術での根治が期待できます。
開頭ナイダス摘出術

2 血管内治療

  • ナイダスの中を段階的に液体状の塞栓物質で固めていく方法です。
  • 侵襲の低い治療法ですが、血管内治療のみでは完全な治療とならないことが一般的です。
  • そのため開頭手術や定位放射線治療を組み合わせて治療を行います。

3 定位放射線治療

  • 最も侵襲の小さい治療ですが、治療効果が小さいことが問題となります。
  • 直径3cm以内の大きさが限界で、閉塞率は1/2~3/4程度といわれています。
  • 大型のものは血管内治療と同様、放射線のみでは確実な治療とはならないので、開頭手術や血管内治療を組み合わせて治療を行います。
  • 治療後閉塞までに数年かかるとされています。
  • 遅発性放射線障害(5%)、閉塞後の出血などが合併症としてあげられます。
  • 手術での到達が困難な深部症病変に行うことが多いとされています。

4 経過観察

  • 患者さんの症状が軽く、治療リスクが高い、と判断した病変は上記のような積極的な治療は避けることがあります。

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