未破裂脳動脈瘤

当院での取り組み

 クリッピング術においては、安全、確実、かつ低侵襲な治療を行っています。安全性を第一に考えた上で、皮膚切開や開頭範囲を小さく短時間に行う工夫をし、より低侵襲な治療を行うことで、患者さんの負担を軽減することに努めています。また、カテーテルを用いた血管内治療も行っており、患者さんに最も適した治療方法を選択します。
 大型脳動脈瘤など、治療が困難とされる動脈瘤においても、バイパス術など高難度な手技を併用することでより安全に、かつ根治できるように努めています。

治療前

治療前

治療後

治療後

物が二重に見えるようになって発症した内頚動脈大型動脈瘤(矢印)の症例です。クリッピング術で直接動脈瘤をつぶすことができないため、バイパス術(矢印)を増設し内頚動脈を遮断することで動脈瘤を治療しました。

未破裂脳動脈瘤とは

 脳の中の比較的太い血管に出来た瘤(コブ)で、ほとんどの場合、無症状ですが、破裂すると出血して、クモ膜下出血になります。クモ膜下出血は脳卒中(脳血管障害)の中でも最も予後が悪い病気と言われており、発症すると、死亡例が約1/3、後遺症の残る例が約1/3、元気に回復する方は約1/3と言われています。

脳血管
血管の瘤

検査方法

下記検査を適宜行い、治療方針を検討します。
 ・頭部MRI/MRA
 ・造影CTA:
 ・脳血管撮影

治療方針

 一般的に脳動脈瘤は、大きさ、形、分枝血管の位置などバリエーションが多い疾患です。治療方針を決定しる際には、自然歴(破裂率)と治療の安全性を考慮します。

自然歴(破裂率)

  • 「自然歴」とは、「破裂の危険性はどのくらいあるのか」「増大や変形する可能性はどのくらいあるのか」という確率を指します。
  • 無症候性未破裂動脈瘤の破裂率は、全体平均 0.95%/年という結果が出ています。
  • 動脈瘤が大きいほど、破裂しやすく、大きさと破裂率の関係は以下になります。
     3-4mmの動脈瘤 → 年間破裂率 0.14-0.90%
     5-6mmの動脈瘤 → 年間破裂率 0.31-1.37%
     7-9mm の動脈瘤 → 年間破裂率 0.97-3.19%
     10-24mm の動脈瘤 → 年間破裂率 1.07-6.94%
     25mm以上の動脈瘤 → 年間破裂率 10.61-126.97%
  • また不正形であるほど破裂しやすく、ブレブ(動脈瘤からさらに小さいコブが出ている形状)があると出血リスクが高くなると報告されています。
  • 大きさや形以外に、年齢(70歳以上)、部位、喫煙習慣、高血圧、過度の飲酒(1週間で150g以上のアルコール摂取)、家族歴(血縁にくも膜下出血や脳動脈瘤の既往の方がいる)、多発性、くも膜下出血の既往歴などが破裂リスクを高める要因としてあげられています。

治療の安全性

  • 動脈瘤は大きさ、部位、形状のバリエーションが広く、それだけ治療の安全性も個々に異なります。
  • 治療を受けられる方の年齢、脳の状態、全身状態も重要です。

これらを踏まえた上で破裂率と治療リスク総合的に鑑みて治療方針を提示、ご本人の希望を尊重し治療方針を決定します。

治療選択

治療には基本的に下記3通りの方法があります。
1)手術:開頭クリッピング術
2)血管内治療:動脈瘤コイル塞栓術
3)経過観察(定期的な画像検査)

1)開頭手術(クリッピング術):開頭を行ない、破裂している動脈瘤の根元の部分に直接クリップを挟むことで、動脈瘤へ行く血流を遮断し、再出血を防ぐ方法です。動脈瘤の形状に合わせて様々なクリップを使用します。直視下でクリップをかけるので確実性が高く、動脈瘤破裂予防において最も効果が期待できます。また、他の治療法に比べて重篤な合併症が少ないことも利点の一つです。

治療中
治療中

2)血管内治療(コイル塞栓術):足の付け根の血管からカテーテルを挿入し、そこから動脈瘤のある脳血管までカテーテルを進めていきます。腕の血管からカテーテルを挿入することもあります。動脈瘤の内部に約0.3mm~0.5mm程度の太さのコイル(プラチナ製)を充填していくことで、動脈瘤内へ行く血流を遮断し、再出血を防ぐ方法です。動脈瘤の形状によっては、ステントと呼ばれるサポート器具も併用・留置してくる場合もあります。患者さんへの侵襲が少ない治療であり、近年道具の発達に伴って進歩している治療法になります。

コイルが入っている状態の図

3)経過観察(定期的な画像検査):治療はせずに様子を見ます。定期的にMRIなどを用いて動脈瘤の大きさなどの変化をチェックします。

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